——肩こり・背中の張りに潜む“感覚の鈍さ”をほどいていくー
2025.6.28 読了目安:15分です
どこを触ってもカチカチ。
背中はバキバキ。
ほぐしても、また戻ってしまう。
それでも——
からだは、ちゃんとサインを出してくれていました。
気づいてくれるのを、ずっと待っていたように😌
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◆「わかってるつもり」だった身体のこと
今回ご来院くださったのは、50代の女性。
主訴は、背中の強い緊張感と、肩〜首まわりの硬さ。
ご自身でも「お尻や足の硬さも感じます」とおっしゃっており、全体的な緊張の強さがうかがえました。
まずは仰向けで身体の状態を確認。
肩甲骨は前方にスライドし、鎖骨は引き上がり、上腕骨は内巻きに。
肩周りはベッドにつかず、筋肉は常に力が入っている状態。
緩んでいる箇所がほとんど見当たらない
という状態でした。
ですが、施術の中心となったのは「硬さを緩めること」だけではありませんでした。
この方の身体が教えてくれたのは、
「感覚がわからないこと」
が、硬さを作っていたということだったのです。
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◆問いかけで、感覚をひらいていく
施術の途中、こういった対話を交えながら、ご自身の身体への理解を深めてもらいました。
H(私):肩甲骨って、どことつながってると思いますか?
Y(ご本人):首?腕??
H:実は、骨としてつながっているのは鎖骨だけなんです。
浮いていて、肋骨や背骨、頭などと“筋肉”でつながっています。
H:じゃあ、背骨が丸まったら、その肩甲骨、どうなると思いますか?
Y:……上に上がる?
H:そうですね、肋骨に“乗り上げる”感じになるんです。
その状態で腕を動かすと、胸や脇を縮めて引き寄せるようにしないと動かせなくなります。
・・・
こうしたやり取りを通して、ご本人の中でぼんやりしていた「肩甲骨と体幹のつながり」が少しずつイメージできるようになっていきました。
ただ知識を伝えるのではなく、「自身に問いかけて、自分で気づくこと」が、感覚を開いていく鍵になります。
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◆“わからない”ことに、気づけるかどうか
私たちはつい、
「感覚がわからない → ダメ」
「感じ取れない → 鈍いからトレーニングしなきゃ」
と焦ってしまいがちです。
でも、今回の施術で見えたのは、
「わからないということ自体を、わかること」の大切さでした。
背中を壁につけて足踏みするワークでは、左右のブレは「わかる」。
背中に手を添えて行うと、さらに「違いがわかる」。
けれど、
「脊椎を引き上げる感覚」
だけは、「わからない」とおっしゃいました。
H:そう、それなんです。
背骨が丸くなる理由の一つが、まさに“わからない”から(感じ取れていないから)なんです。
この瞬間、ご本人の中にある“がんばりのスイッチ”が少し緩んだように感じました。
頑張ることが悪いのではない。
でも、「わからなさ」に気づかずに頑張り続けることは、本質からずれてしまうことがあるのです。
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◆感覚を“育てる”体験
後半の施術では、正しい骨格の位置に誘導しながら、
顎を引き、口をすぼめて、呼吸を繰り返してもらいました。
Y:「きつい……」
その「きつさ」は、これまで眠っていた筋肉が動き始めたサイン。
脊椎を引き上げ、姿勢を保持するための筋肉が働き出すと、それだけで感覚に大きな変化が起きます。
はじめは「わからない」だった感覚が、数分のワークで
「なんとなくわかる」に変化していきました。
感覚が鈍っている人は、一瞬では違いがわかりません。
でも、繰り返していくと、脳が「これは違う」と認識し始めます。
これが、“感覚を育てる”というプロセスなのだと思います。
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◆「わかる」感覚が増えると、選択が変わる
その後、ご自身の身体に対しての理解も深まっていきました。
H:今、肩甲骨が肋骨に対して並行に並んでいます。下がっているの、わかりますか?
Y:あ、はい!下がってます。腕もぶらぶらして力が抜けてます。
この“力が抜けている感覚”を、基準として身体が覚えること。
そうすれば、日常の中で「違和感」に気づけるようになります。
試しに、背中を丸めた状態でスマホを持ってもらいました。
Y:肩も脇も腕も、ぎゅーっと縮まったのがわかります!
この状態を続けることが、肩の硬さや腕の使いにくさにつながっていた。
だからこそ、“緩めるだけでなく、使い方を変えること”もとても大切になります。
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◆“わからない”から、はじめる
今回のケースで印象的だったのは、
「硬いこと」は感じられていたけれど、
「緩んでいる状態」がどんなものか
まったくわからなかったこと。
硬い=悪い → ケアする
でも、「硬くない状態」がわからないと、ケアはゴテゴテになってしまう。
比べる基準がないと、変化は感じられない。
だからこそ、「今、楽だ」という状態を
感覚として持つ
ことがとても大切なのです。
◆船の舵を握るのは「感覚」
身体に力が入り続けてしまうのは、
それが“普通の状態”になってしまっているから。
でも、その“普通”が積み重なると、
ある日突然、ガチガチに固まった感覚として現れます。
その時点ではもう、かなり積み重なっている状態です。
ここで、ひとつのイメージをご紹介します。
船は、進む先がわかっていないと、流されてしまいます。
気づけば、思っていた場所から遠く離れてしまっている。
自分の行き先を見失わないためには、
「灯台」のような指標が必要です。
この“灯台”にあたるのが、
「自分の感覚」です。
——今、からだはどう感じている?
——この姿勢、心地いい? それとも、なんとなく詰まってる?
その問いかけと、「わかる」感覚こそが、
船の進路を整える「舵」となります。
硬さをつくらないようにするには、
硬くなる前の違いに気づく必要がある。
そのためには、「ゆるんだ状態」がどういうものか、
体感として【わかって】いることが大切です。
ゆるんだ状態を知らなければ、戻る先がわからない。
逆にいえば、戻れる状態を持っていると、ガチガチになりにくい。
もし一時的に固まっても、「あ、ズレてる」とすぐ気づける。
そうやって、蓄積されないサイクルを自分で育てていくことができるのです。
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🔶まとめ:感覚は、あとから育てられる
身体の感覚は、何歳になっても、何年動かしていなくても、あとから育てていくことができます。
必要なのは、「わからない」と素直に気づくこと。
そして、そのわからなさの中に耳をすますこと。
ほぐす、緩める、頑張る前に、
「自分は今、どう感じているのか?」を、
少しだけ丁寧に見てみてください。
その先に、変化の入口があります。
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