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ー胸式・腹式の仕組みをひも解きながら、“自然な呼吸”へと戻るヒントー

2025.7.2 読了目安:15分です

こんにちは。
今回は「呼吸」について、お話ししていきたいと思います。

 

よく聞かれるのが、
「腹式呼吸と胸式呼吸、どちらが良いんですか?」というご質問です。

 

たしかに、呼吸について調べると「腹式が良い」「胸式は浅い」といった情報がたくさん出てきますよね。でも実際には、「良い・悪い」で切り分けるよりも、

“今の身体の状態にとって、どんな呼吸が最適か”

という視点がとても大切です。

 

今日は、身体の構造や筋肉の使われ方の観点から、
✔️腹式と胸式の違い
✔️呼吸がうまくできない背景にある身体の状態
✔️呼吸を通して身体とつながるヒント

を、専門的な視点を交えながらお伝えしていきます。

 

どうか、「どちらが良いか」ではなく、

「今、私はどんなふうに呼吸しているだろう?」

という探求の時間にしていただけたら嬉しいです☺️

 


呼吸は“肺が動く”ことで起きる

まず前提として知っておきたいのは、
肺そのものには筋肉がなく、自らは動けないということです。

肺は「動かされる」臓器。
そのために、身体はたくさんの筋肉や骨格の協力を必要とします。

 

その肺を守り、動きに対応して広がったり縮んだりしているのが、**胸郭(きょうかく)**と呼ばれるユニットです。


胸郭は、脊椎・肋骨・胸骨・鎖骨といった骨と、それらを動かす筋肉・膜組織から成り立っています。

 

この胸郭が、姿勢や筋肉の状態によって動きにくくなると、肺もうまく広がれなくなる。つまり、呼吸が浅くなるという現象が起きるのです。

 


腹式呼吸と胸式呼吸の違い

では、よく聞かれる「腹式と胸式」の違いはなんでしょう?

それは、肺を広げる主な筋肉の違いにあります。

 


① 腹式呼吸(横隔膜メイン)

私たちがリラックスしているときに多く使われる呼吸法で、
主に「横隔膜(おうかくまく)」というドーム状の筋肉が働きます。

横隔膜は、呼吸の70〜80%を担うほか、
・骨盤底筋
・腹横筋
・多裂筋
などと連動して、体幹を安定させるインナーユニットの一部でもあります。

引用:プロメテウス解剖学アトラス3版p.158

この横隔膜が上下することで、

胸郭が縦にも横にも広がり

肺が自然に膨らみます。

 


② 胸式呼吸(肋間筋メイン)

肋骨と肋骨の間にある「肋間筋(ろっかんきん)」が主に働きます。


この筋肉が肋骨と肋骨の動きを上に下にと促すことで、胸郭が広がり狭まり、肺が動けます。

活動量が多い場面、緊張しているとき、運動時などには自然とこの呼吸が多くなります。
また、肋間筋は身体をひねる動きにも関わるため、日常の姿勢や動作の偏りにより、柔軟性が低下しやすい場所でもあります。

 


胸式呼吸は悪いの?

よく「腹式呼吸が良くて、胸式呼吸は浅いから悪い」と思われがちですが、
実は、どちらも大切な機能であり、場面によって自然に使い分けられるのが理想です。

たとえば…

  • 走った後にたくさん空気を取り入れたい → 胸式呼吸が必要
  • 就寝前にリラックスしたい → 腹式呼吸が合う
  • 声楽や吹奏楽のように吐く息を繊細にコントロールしたい → 腹式+姿勢制御力が必要

このように、呼吸も“動きの一つ”
そのときの身体や目的に合わせて選ばれることが、本来の自然な在り方なんです。

 


呼吸が浅くなる背景に「姿勢」の影響

ただ実際には、以下のような状態により、意図せず呼吸の幅が狭くなっている方が多く見られます

  • 巻き肩や猫背が続いている
  • 座り姿勢が長く、背中や腰が硬い
  • 呼吸時に肩や胸ばかりに力が入り、お腹や肋骨が動いていない
  • 自律神経の影響で呼吸が乱れ、空気の出し入れが十分起きていない などなど。。。

こうした状態では、胸郭の柔軟性が低下し、横隔膜や肋間筋の動きも制限されてしまいます。
その結果、**「呼吸しづらい」「浅い」「疲れやすい」**といった状態につながっていきます。

 


今からでも、呼吸は変えられる

たくさん情報があると混乱してしまうのもよくわかります。

でもそれらの情報も、出している意図がそれぞれありますので情報の一部を抽出しすぎてしまうと”で、結局なんの方法がいいの?”と困惑してしまうこともあると思います。

そういうときは、

なぜこの情報はあるの?

なぜこの方法をうながしているの?

などの視点と共に、身体そのものの仕組み、もちょっと取り入れてみてください☺️

 

身体の仕組みを知ると、今の呼吸が“間違っている”のではなく、
**「自然な呼吸に戻る余白がある」**ということにも気づけます。

 

また、方法に捉われず、身体そのものが動きやすい状態/快適な状態を作ることで胸郭の動きが促され、状況に合わせて自然と呼吸方法も身体が適切に判断してくれるはずです。

 
こういった順序の方が、

呼吸も深くなるだけでなく、姿勢も安定し、自律神経も整いやすくなりますよね🍀

 


📹【セルフケア動画のご紹介】

胸郭の動きについてや呼吸を深める簡単なセルフケアを、動画でご紹介しています。
下のリンクから、ぜひご覧ください。

👉呼吸を深めるセルフケア

この動画の、31:19-ワーク:肩甲骨が”楽”な体勢を感じてみる

👉胸郭の動きについて

 


よくあるご質問(Q&A)

Q1:腹式呼吸を意識すると、逆に苦しくなるのですが…?
A1:無理に「お腹を動かさなきゃ」と意識しすぎると、かえって不自然になります。また、息を十分にはききれていないから入ってこない、という場合もあります。上記の動画の「胸郭を起こした」姿勢を参考にして頂き、まずは空気を全てはき切って自然と空気が入ってくる感覚を感じてみてください。

Q2:胸式呼吸ばかりしていると身体に悪いですか?
A2:必ずしも悪いわけではありません。大切なのは、両方の呼吸を自然に使い分けられる柔軟性です。姿勢や筋肉の状態によって動きやすい方向が偏っているだけ、という場合も多いです。

Q3:今の呼吸が自分に合っているかどうか、どう判断すれば?
A3:「吸うときにどこが動いているか?」「呼吸に意識を向けたとき、無理している感じがあるかないか?」も一つのヒントとなります。それでも判断に迷う場合は、一旦呼吸への意識から離れて身体を漠然と感じて”楽””心地よい”状態を探ってみてください。悩みすぎた場合はご相談くださいね。


最後に

呼吸は、日々を生きるなかで最も身近な動きです。
でも、意識を向けることは案外少ないかもしれません。

「どちらの呼吸が良いか?」という問いの奥には、
きっと「どうしたらもっとラクに、自分らしくいられるだろう?」という願いがあるように思います。

 

その答えは、身体の中にあります。
そして、今の身体からでも、必ず変わっていけます。

 

もしこの記事を読んで、

「自分の呼吸、しやすい身体なのかな?」

「身体の状態、どうなっているんだろう?」と感じた方は、
いつでもご相談ください。

 
一緒に、あなたに合った身体、それに伴い自然な呼吸の“ひらき方”を探していきましょう🍀

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