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—“動けてしまう身体”に潜んでいた、見過ごされてきた本当の要因

2026.7.3 読了目安:15分です

こんにちは。
本日は、ダンスインストラクターとして長年身体を使い続けておられる方の「突然の膝の痛み」を通して見えてきた、“思わぬ要因”についてお伝えします。

 

これまで痛みや不具合を感じることなく身体を動かしてこられた方が、ある日ふと「膝が痛い」と感じ、そのまま1ヶ月改善しないまま不安を抱えて来院されました。

 
身体の状態を見ていくと、問題は膝そのものではなく、

「どう動かしているか」

「どこから動きを起こしているか」

という“動きの主導性”にありました。

 

今回はこの事例から、「痛みの裏にある原因の見立て方」「本来使うべき筋肉とは何か」「コアが働くことで何が変わるのか」…を、共に探っていけたらと思います。

 


🟢 こんなお悩みで来院されました

ご来院されたのは、30代の女性。
小さい頃からさまざまなダンスをされてきたそうです。

春頃、健康意識もあって毎日2,000〜8,000歩を歩くように習慣化されたそうです。

ところが、それを始めて1ヶ月ほど経った頃から、突然左膝に痛みを感じるように。
症状が緩和されず、不安を感じて当院に来られました。

主な症状は以下の通りです:

  • 左膝の曲げ伸ばしで、不快な音が鳴る
  • 深くしゃがむなど、体重をかけた動作には“怖さ”があり避けている
  • 正座はできるが、手で支えが必要
  • 階段を降りるときは特に不安定で、急には降りられない
  • レッスンでも、膝を深く曲げる動きは避けている

こうした「構造的に問題がないのに痛みが出ている状態」では、

**どの筋肉がどう働いているのか? そもそも何を使って動いているのか?**

という視点がとても重要になります。

 


🟢 膝関節自体に問題はなかった

施術で膝関節の状態を詳しく確認しましたが、靭帯や関節の構造自体に問題は見られませんでした
可動域も保たれており、骨や軟部組織に損傷の兆候もなし。

ではなぜ痛むのか?

見えてきたのは、**「筋肉同士の滑走性の悪さ」と「コア筋の不活性」**でした。

 

■ 膝まわりの滑走性不良

  • 大腿四頭筋、ハムストリング、下腿三頭筋、前脛骨筋などの筋間の滑走性が全体的に低下
  • 特に内転筋群の使われていなさが顕著で、恥骨筋は埋もれたような状態
  • 膝蓋骨周囲にも癒着あり、動きの引っかかりが痛みにつながっていた

ただし、幸いなことに筋肉自体の硬さの緩和は時間を要さず、調整自体は比較的スムーズでした。
これまでのダンス経験や日々のストレッチ習慣のおかげで、筋自体の柔軟性は保たれていたためだと考えられます。

 


🟢 問題の本質は「どこから動かしているか」

今回の核心はここにあります。

この方は「動けてしまう」タイプ。
バランス感覚もよく、運動能力も高いため、アウターの筋肉で動作が成立してしまっていたのです。

 

ですが、実際に姿勢保持や深屈曲時の安定に必要なのは、インナーマッスル――いわゆるコア筋の存在です。

❍ 特に不活性だったコア筋

  • 多裂筋:脊椎の引き上げを感じたことがなく、まったく働いていなかった
  • 腹横筋・骨盤底筋:単独での収縮は可能だが、動作中に連動できていなかった
  • 横隔膜との連携:呼吸を伴う姿勢保持ができていなかった
引用:プロメテウス解剖学アトラス3版p.158

「爪先立ちをしてみてください」とお願いすると、「太ももの力で支えていた」とご本人も気づかれるほど。
つまり、本来“内側から支える”べき動作を“外側の筋肉”で代償していたことになります。

 


🟢 コアを“感じる”ことで変わり始めた動き

施術後は、あえて筋トレ的なアプローチは行いませんでした。
それよりも、

末端主導の使い方をコア筋主導に変えていくアプローチ

そのために、

「コア筋を使っている状態とはどういうものか」を体感してもらう

ことを大切にしました。

  • 不安定な姿勢(バランスディスク上など)で“脊椎の引き上げ”を実感
  • 腹圧で身体が支えられている感覚をそもそも感じたことがない様だったためボディシェイパーを使って圧がかかる感覚をプラスする(ご本人の状態に合わせて今回は強めに締めました)
  • そのうえで腹横筋〜横隔膜〜骨盤底筋〜多裂筋の連動を意識
  • 引き上がった姿勢では、大臀筋の働きも自然と引き出される

その結果、コアからの動きが自然と出てきて、膝に頼る必要がなくなったのです。

この状態でジャンプをされた瞬間の、

「!!!痛くない!!」

と仰った時の表情がとても印象的でした☺️

 


🟢 膝の痛みから「本来の支え方」を思い出す

このように、膝の痛みは決して“膝の問題”だけで起こっているわけではありません。
むしろ、「支え方のクセ」「どこから動いているか」という全身の使い方が、膝への負担を生み出していたのです。

この方はもともと素晴らしい身体能力をお持ちでした。
だからこそ、「動けてしまっていた」ことが、“本当に使うべき筋”に気づくきっかけになりづらかったとも言えます。

 

でも今だからこそ、「あれ、もしかして?」という違和感に気づけた。
その気づきがあったからこそ、身体全体の動き方を見直すことができた。

 

身体は、今からでも変えられます。何歳でも、どんな状態でも。

 

大切なのは、「今気づいたこの瞬間」を逃さず、身体との対話を始めてみることだと思うのです🍀

 


🔹よくあるご質問(Q&A)

Q1. コアを鍛えたら膝の痛みは治るんですか?
→ 必ずしも“鍛える”必要はありません。
まずは「本来の動き方」「支え方」を感じることが大切。強さではなく、**“使えているかどうか”**が鍵になります。


Q2. 年齢的に筋力が落ちてきているのが原因でしょうか?
→ 年齢も要因にはなり得ますが、それよりも「どの筋肉をどう使っているか」が影響します。
実際、今回の方のように筋力がある方でも、使い方のクセによって痛みが出ることは多いです。


Q3. ストレッチやマッサージで治らなかったのはなぜ?
→ 表面的な緊張だけではなく、「筋肉同士の滑走性」や「主導性のズレ」が関わっている場合、
ストレッチだけでは滑走性は改善されないため根本的な改善に繋がりません。細部の調整と共に全体の動き方から見直す視点も必要です。


📹セルフケアのご提案

「自分の動き方が気になる」「似たような膝の不安を感じている」という方に向けて、
ご自宅でもできる【コアを感じるセルフワーク】の動画を以下にご用意しています。

🟢テーマは肩の内巻きですが、末端主導vsコア筋主導、について話しており今回お伝えしたい内容を扱っています。

身体に負担をかけずに、静かに“支え直す”感覚を育てていける内容になっています。ぜひご活用ください。

 

🟢大腿部の滑走性不良のセルフケア

 

🟢膝への負担をなぜ減少させる必要があるのか、身体構造観点から話しています

 

🟢正座を表層の筋肉の短縮が原因であるという観点から


🔸さいごに|今感じている“違和感”こそ、身体からのサイン

「歩くのが怖い」「深くしゃがむのが怖い」「膝から音がする」
その違和感は、身体があなたに伝えてくれているとても大切なサインかもしれません。

 

大きな故障になる前に。
ただ“整える”だけでなく、“自身のからだと対話する”関係を、身体と築いていけるように🍀

 

気になることがあれば、いつでもご相談ください。
あなたの今の状態に合わせて、一緒に“対話できるからだ”を探していけたら嬉しく思います☺️

 

→ お問い合わせ・ご相談はこちらから

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